はじめに
vol.0 にて長い前置きがありましたが、オブジェクト指向の目的や、広く受け入れられる背景を知っていただいた上で読んでいただきたいと思ったので書いてみました。
改めて「新たな要望を短時間で実現する」をどうやったら実現しやすいかなと考えた時、一つの回答として規格化するとやりやすい
ということがあると思います。今回はそのイメージをお伝えすることをゴールにしてお送りします。
規格化のメリットを知る
コードをあまり書いたことが無い人にもある程度伝わるように考えると、何かにたとえることが必要になってきそうです。何かシステムっぽいものがあると話がわかりやすいと思うので、下記のようなスマホを使った簡単なステレオのシステムがあると思ってください。
これから様々な要望が出てきた場合と、その対応について一緒に考えましょう。
交換可能なので嬉しい
「本体から遠くで鳴らしたいのだけど…。」という要望があったとしましょう。
皆さんはすぐに 「今使っているのは1mの長さだから、5mのUSBケーブルを買ってきて付け替える」 のように行動すると思います。簡単ですよね。
これが実現できるのはなぜでしょうか。 「USBという規格に合わせて様々なケーブルが作られているから」 に他なりません。
また、USBケーブルのメーカーは沢山あります。規格化されているので、作る人が誰でも大丈夫です。また、ケーブルに使われる金属や太さなどもマチマチです。これができるのもUSBという規格があるお陰ですね。
もしもUSBという規格なしにこれをやろうとすると、まずコネクタの形状を調べるところから始めて、どんな風に電気を通せば良いのかを確かめてなどしてから形状に合わせた設計図を書いて発注し…となってしまい、完全オーダーメイド。とても時間がかかってしまいます。
一体型のステレオで同じことをやろうとするとまず分解するところから始めそうです。これはもっと時間がかかります(今はイヤフォンジャックで外部スピーカー繋ぐとか、オーディオ端子で...とかは忘れてくださいごめんなさい)。
使い方さえ知っていれば中の複雑さを知らなくていいので嬉しい
規格化されているので、USBケーブルの中身がどうなっていて、具体的にどんな通信を行うものかを知る必要はありません。必要なのは「両者をつなげれば動く」という性質だけです。このおかげで、たくさん勉強する必要なくシステムを完成させることができます。
再利用できて嬉しい
USBケーブルをお友達に貸してあげることができます。お友達はPCとタブレットをつなぐという全く違うシステムを作る為に使うのかもしれません。このように同じUSB規格を利用できるところに、一度作られたケーブルを使いまわせます。
貸してあげるところまでいかなくても、スマホの部分を本格的なステレオ機器に付け替えることも、逆にスピーカーをもっと携帯性の高いものに付け替えることも簡単です。
全ての完成品がなくても試験できて嬉しい
特にソフトウェアで面白いのは、作っている途中での活用です。ケーブルを作っている工場を想像しましょう。スマホは既存の製品があるけれど、作っている最中にスピーカーで音を立てると周りの人に迷惑なので「スピーカーらしきもの」で代用しています。例えば鳴っている音をビジュアル化して表現したりして「USB規格を実現したスピーカーを繋いだらきっと鳴るよ」ということをテストしているんですね。テストに合格したら、ちゃんとしたスピーカーに繋いで音を鳴らしてみなさんに聞いてもらうんです。ソフトウェアのテストでもこれと同じようなことをしています。
オブジェクト指向と規格化
前回出てきた「技術者の心の声」のうちの何点かを規格化に絡めた例にして挙げてみました。他にも考えられるかもしれませんが、概ねポイントは押さえられたと思っています。こういったことを実現できるようにソフトウェアを作る人は努力しています。ひとえに新たな要望を素早く実現するためですね。
そしてオブジェクト指向は、このような「部品化して規格化する」ということにとても近いです。そのメリットも上記のような「規格化されたUSBケーブルを差し替える仕組みにすれば扱いやすいし、要望をより短時間に実現できる」ということと、とてもよく似ています。部品化して規格化することで実際の工業製品のような作り方をしましょう、という感じかもしれません。
このたとえ話をもう少しソフトウェアの実情に合わせてみると、
- USBのような「規格を決めること」が
インターフェースを決める
(もしくはダックタイピングのためのメソッド群を決める) - 「USBケーブルを作る」が
クラスを実装する
- スマホとスピーカーを実際に繋いだものが出来上がったシステム全体
のように当てはめることができます。
「新たな要望を短時間で実現する」という目的を達成するために、このような規格化によって対応しているのですね。USBケーブルを簡単に入れ替えていたように、ソフトウェアも入れ替えやすさを意識して作ると良いソフトウェアに近づくと思います。
次からはコード出していきますね。 と、思っていたんですけどこのネタで会話してたら別の内容を一回挟みたくなったのでもう一回イメージの話になりました。
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